無線機の防水・防塵性能の保護等級って何?
無線機の防水・防塵性能の保護等級って何?
過酷な環境下で使用をする場合は水などの液体や、塵やホコリなどといった浮遊物や固形物に対する耐久性も製品選びにおいて重要となります。
この耐久性を評価する手がかりとなりうるのが「電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)」ですが、これは具体的にどのような指標なのでしょうか。
保護等級は様々な電気機械器具に適用されている指標
電気機械器具の外郭による保護等級は、国際電気標準会議(IEC)で定められた規約に基づき、日本工業規格(JIS)によって規格化された防水・防塵の性能に関する指標です。
当初はIEC規格とJIS規格では内容に相違点がありましたが、2003年に実施された改正によってほぼ統一化されました。
今日では無線機に限らず、スマートフォンやタブレット端末、デジタルカメラなど様々な電気機械器具の性能評価に用いられており、製品によってはセールスポイントとして強調されていることがあります。
IPコードは、規格で定められている手順で試験を行って評価した上で、規定されている方法で製品の仕様一覧に表記しなければなりません。
表記は必ずInternationalProtectionの略称である「IP」から始まり、第一特性数字、第二特性数字、付加特性文字がこれに続きます。
行っていない検査がある場合は、該当する部分の保護等級を「X」とします。
2つ以上の試験に合格している場合は、IPコードを複数表記することもできます。
無線機のIPコードは付加特性文字が省略され、特性数字のみの表記となっているケースがほとんどです。
無線機の2つの特性数字は、第一は人体・固形物体に対する保護等級が0~6までの7段階で、第二は水の侵入に対する保護等級が0~8までの9段階で表現されています。
防塵性能をあらわす第一特性数字の見方を知る
電気機械器具におけるIPコードのうち、防塵性能をあらわす第一特性数字は大きくなればなるほど、外部から小さな物体の侵入を許さない構造になっていることを意味します。
0級は外部からの物体の侵入を防止する性能が全く備わっていないことを示していて、1級は直径50mm以上の物体が内部に侵入しないことを確認する検査に合格していて、手などが誤って内部の基盤や部品などに接触するおそれがない構造になっていることを意味します。
2級は指先ほどの大きさ(直径12mm程度)の物体まで、3級は工具の先端ほどの大きさ(直径2.5mm程度)まで、4級はワイヤーや銅帯くらいの大きさ(直径1.0mm程度)までであればほぼ確実に侵入を防げることを示しています。
一般的に防塵性能があるとみなすことができるのは、等級が5と6の場合です。
5級は多少粉塵が内部に侵入したとしても機器が正常に動作しなかったり安全性が損なわれることが無いこと、6級は粉塵を完全にシャットアウト可能な構造になっていることを意味しています。
もし、屋内や地下の粉塵が発生しやすい現場で、無線機で他の作業員と連絡を取り合いながら作業をする場合は、第一特性数字が5か6のいずれかになっている製品の中から選ぶようにすれば、問題なく使い続けられるでしょう。
防水性能をあらわしている第二特性数字の見方とは
防水性能をあらわすIPコードの第二特性数字は0から8までの9つの等級であらわされていますが、このうち0級は全く防水性能が無いことを意味しており、このような製品は水没させたり、水圧を少しかけただけでたちまち故障してしまいます。
1~3級は20cm上方から10分間水滴を落としたり、一定量の放水を行っても機器に有害な影響が出ないことを意味します。
違いは機器への水の放たれ方で、1級は鉛直方向に1分間に3~5mm程度の水滴、2級は鉛直から15度の範囲に毎分3~5mmの水滴、3級は60度の範囲で毎分10リットルの水を放って機器の動作を確認しています。
4~6級はどんな方向から水を放たれても機器に影響が生じないことを示していますが、1~3級と同様に検査での水の放たれ方に違いがあります。
4級は3~5m程度の高さから毎分10リットルの水を10分間放つ検査を行って認定しており、5級の場合は毎分12.5リットルで圧力が30キロパスカルの噴流水を、6級では毎分100リットルで圧力が100キロパスカルの噴流水を放って検査をしています。
一般的に防水性能が高いとされるのは7~8級です。
7級の機器は15~100cmの深さに30分間水没させてしまっても機器に動作不良などが起きることがなく、8級に至っては長時間水中におかれても機器内部に全く水が侵入してこない完全密閉構造になっていることを意味します。
無線機の防水・防塵性能の保護等級は、JISによって検査や表記などの方法が規格化されており、防水性能は0~8までの9段階で、防塵性能は0~6までの7段階であらわします。
過酷な環境下での仕事中に無線機を使用して作業員とやりとりを行う場合は、防水性能で4級以上、防塵性能で5級以上になっている製品を使用すると良いでしょう。